「陽気ようやく重なりて露こごりと白色となれば也」(暦便覧)
ようやく本格的に秋らしくなってきて、
近頃は、たくさんトンボが飛んでいます。
トンボといえば思い出す、
忘れられない光景があります。
義母の突然の逝去から、
今月七回忌を迎えました。
当時、義母のお通夜の準備が始まり、
皆が忙しく出入りしている時の事です。
その葬儀場は、外から直接部屋に入るような
コテージの様な造りになっていました。
広く開け放たれた入口の扉の目線の位置に、
手を伸ばさなくても簡単に、
捕まえられそうな危うい場所に、
大きなオニヤンマが、動かず止まっていました。
そのオニヤンマは、どれだけ近づいても、
どれだけ凝視しても、全く逃げませんでした。
そして、翌朝になってもまだそこに居て、
葬儀が始まる直前、
気づいた時は居なくなっていました。
検査の途中、義母は急に亡くなったのですが、
家族皆大変驚き、全く信じられませんでした。
本人はもっと信じられなかったはずなので、
大好きな花で飾りつけられた祭壇を見て、
オニヤンマの姿で立ち尽くしていたのだと、
そうしか思えませんでした。
毎年この時期、トンボの姿を見かけたら
あのオニヤンマを思い出します。
もしかしたら京都にも、飛んで来てるかな?